猛暑の車検証入れ「マチ」製作

車検証入れにはマチ付きタイプがあります。

マチとは、分厚い書類を入れる為に広がる

ようにしたポケットの事です。

当店のマチポケットは、約25㎜幅の書類が

入れる事が出来るようになっています。

片側タイプと、両側タイプがあります。

両側タイプですと25㎜+25㎜合わせて50㎜

の書類が入ります。

現状の取説やナビ書類は合わせて50㎜程度

のものが多いので当店ではこのサイズで制作

しています。

マチの製造は結構人の手が必要でして、

当社でも必要数量を確保する為、色々試行錯誤を

繰り返しながら現在のスタイルで何とか頑張っ

ています。

 

今年は猛暑でマチの製造のも支障をきたしてい

ます。

マチは厚さ0.2mmのビニール生地をウエルダー

機を使用して作成します。

折りたたむ為の線を付ける事と、要らない部分

の手切り用のカット線を付けることを同時にする

のですが、猛暑でエアコンをフル稼働する為、

少しでも風があると金型の温度が下がりカット線が

うまく入らないことがあります。

 


(ウエルダーしたクリア生地)


(カット線が入った「端」の部分を手で外します)

 

そうなると手作業で修繕しなければならず、

機械と比べると30倍はかかってしまいます。

これでは納期にも支障をきたしますので、

風が当たらないようにマチの機械とその作業者に

仕切りをしました。

そして、窓ガラスに遮熱シートを張り室内の温度を

少しでも下げ、空調の風を弱くできるようにしました。

遮熱シートは思ったより効果があり室温が3度も

下がりました。

 

こうして何とかご注文頂いてるマチの確保が

出来るようになりました。

年々気温が上がっていくので、製造現場としては

空調の増設が必要になるでしょうが、

少しでも生産性を上げて、一品当たりの単価を下げ、

お客様に少しでも還元できるよう努力しなければな

りません。

今回は、業務用の遮熱シートを巻きで買い込み、

窓の大きさにカットしてマジックテープで脱着

できるようにしました。

費用は、8,000円程度で3度下がったわけですから、

相当なコスパであったと思います。

 

これで、今年の夏は乗り切れそうです。

 

車検証入れの自社生産

いつの日か、「検査証」は車検証入れに入れる事になり

ました。

この事は、日本中の車屋さんで決まっておりまして、

車検証入れが切れていると納車に差し支えるほど大変な

ことになります。

しかしながら、私どもへ切れてから注文される方がこれ

また無茶苦茶多いのが事実です。

(一応、印刷無しの車検証入れを無料でお送りしてます。)

その為、私どもは納車に差し支えない様、一日でも早く

お届けをしなくはならないわけです。

 

平成19年にネット販売を開始してから半年ぐらいで販売枚数

が増え、それとともに納期が以前より掛るようになってしま

いました。

お客様のお気に入りの生地に社名やロゴ、キャッフレーズ

などを印刷し、それから車検証入れを製作していく一社一

社オーダーでの手作業での制作ですので、時間が掛ってし

まいます。

この悩ましい問題を何とかしなければならないのでありま

した。

当初から車検証入れのデザインは自社で行っておりましたが、

印刷や製造は外注に出していました。

車検証入れは小ロットの製造ですので、小規模な工場で

ないと受けてくれません。

ところが小規模な工場は生産能力が低い上、ビニール加工

品全般に扱っていますので、すぐに仕事がいっぱいになり

希望の納期には到底間に合いません。

いろいろ細かい対応にも限界を感じましたので、希望の納期

を実現すべく車検証入れだけを作る工場を段取りし自社生産

に切り替えました。

と言う事で、納期は随分早くなったのですが、小ロットでの

オリジナル生産ですので、日によっては仕事が無く人が遊ん

でしまう事がよくありました。

それを車検証入れ以外の商品で埋めることは可能でしたが、

それをしてしまうと製造の段取りがややこしくなり、将来

的に納期がうまく回らないことが目に見えてました。

車検証入れの製造だけで円滑に回る一定ラインのお客様数

になるまで、それ以外の製造に手を出さず我慢しました。

地元の商社からの他商品製造のありがたいお話も全てお断

りをしました。

「仕事が頂ける」のに断るわけですから、何か悪いことを

しているような気になったものです。

 

 

やがて車検証入れの売上は納期も速いこともあり順調に

伸び、工場もスムーズに回る注文量になりました。

こうして、人が遊ぶようなことはなくなりました。

今は15名のスタッフで13台の機械を稼働しております。

そして、多くのお客様のご注文がスムーズに生産できるよう

独自のITシステムを導入しました。

このITシステムはどのお客様の車検証入れが今どの工程にあり、

あと何日で納品できるかを一元管理することが出来ます。

これは製造の管理だけではなく、例えば、お客様の納期の催促

の問い合わせにもすぐにお答えできます。

このシステムが無い時は受付のスタッフが製造のリーダーに

いちいち聞かないといけないのでお客様との電話も一旦置いて

かけ直さなければなりません。また、製造のリーダーも作業の

手を止めてなければなりません。

当然ながら、お客様もその間待たないといけませんし。。。。

この問合せの処理だけでも年間にすれば結構な時間短縮にな

ります。

製造においては、機械ごとの生産待ち量が把握できますので、

それをばらつきが無いよう調整し、待ち時間がでないように

出来ます。

少し分かりづらいかと思いますので付け加えますが、

車検証入れの製造は「金型」の種類により工程が違います。

例えばAの金型の工程が込んでいるときは、Aの金型と同じも

のを別の機械に取り付けて生産量の少ない機械のスタッフを

配置し、工程の混み具合を解消するわけです。

これで次の工程の待ち時間は無くなり最短の製造時間が出来

上がるわけです。

毎日のように新しい注文が入る中で13台の機械の段取りと、

それを平滑に運営するにはITシステムは不可欠であります。

 

 

一つ一つ見れば小さなことでもその積み重ねが最終的に納期を

遅らせる事にもなりますので、出来るだけシステムで解決でき

ることはどんどん導入していっています。

 

店長 黒田